コロナと石けん後編

毎日、マスク、手洗い、消毒、ステイホームの生活をしている中で、テレビから新たな情報が入ってくるとわからないことがかえって増えてくることがあります。こういう時は初心にかえって科学的に考えてみることが重要です。
器物の消毒(新型コロナウイルス対策)に石けんが有効

経産省「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討委員会」から6月26日、次の通り(表1)、9種類の界面活性剤が器物の消毒に有効との報告がなされました。

(表1)新型コロナウイルスに対して有効と判断された物資のまとめ

検証試験結果から 有効と判断されたもの (9種)
  • 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (0.1%以上 )
  • アルキルグリコシド (0.1%以上 )
  • アルキルアミンオキシド (0.05 %以上 )
  • 塩化ベンザルコニウム (0.05 %以上 )
  • 塩化ベンゼトニウム (0.05 %以上 )
  • 塩化ジアルキルジメチルアンモニウム (0.01 %以上 )
  • ポリオキシエチレンアルキルエーテル (0.2%以上
  • 純石けん分 (脂肪 酸カリウム )(0.24 %以上 )
  • 純石けん分 (脂肪 酸ナトリウム )(0.22 %以上 )

※界面活性剤の成分について検証した結果であり、製品そのものについての検証結果ではない。

※下記、国立感染症研究所が検証したデータは別ウィンドウで開きます。

検証データ1

検証データ2

この中で液体石けん(脂肪酸カリウム)、粉・固形石けん(脂肪酸ナトリウム)も有効と最終報告されました。中間報告では効果がでませんでしたが、これは濃度が0.1%と低かったためで、今回0.24%では99.999%以上の感染価減少率でした。

つまり、1ℓの水に液体石けん10gまたは粉石けん3g以上を溶かした溶液に浸した布でテーブル、ドアノブなどの器物を拭き取ればウイルスは不活化(死滅)します(20秒後水拭きします)。環境毒性があり、手荒れを起こしやすい合成洗剤を使う必要がなくなります。

なお、台所用合成洗剤や合成シャンプー、ボディソープの主成分のアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(ラウレス硫酸ナトリウムともいう)は、石けんの2倍の濃度0.5%でも不活化効果は認められませんでした。

手指だけでなく、器物の消毒にも石けんが有効。
帰宅後「石けんハミガキ」で歯みがき、すすぎをするとウイルス対策になる

最近、新型コロナウイルスでの感染で家庭内感染が増えていますが、この対策として手洗い、ドアノブ等の器物の消毒とともに「石けんハミガキ」が効果的です。

石けんで歯みがきするのは不思議と思うかもしれませんが、昔のハミガキ粉は石けん粉でした。

その後、現在のチューブ入り練りハミガキになりましたが、石けんハミガキには1.5%~4%の石けん(脂肪酸ナトリウム)が含まれています。この石けんハミガキを1.5g(毛先の長さ程度)取り出し、ハブラシで1分ほど歯と歯肉を磨き、5g程度の水を口に含んでクチュクチュすすぎ、ガラガラうがいを20秒します。1.5g×1.5%÷5g=0.45%になるので、口中のウイルスは不活化(死滅)します。(国立感染症研究所での検証試験から類推)

なお、市販の一般ハミガキは、石けんではなくラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)が含まれていますが、新型コロナウイルスに効果があるかどうかの検証試験はされておりません。

石けんを使用しているハミガキ。