草刈編 ~ヒエとどろしょい物語~
6月1日に「天空の縄文米」を植えた田んぼで、今回は草取りをしてきました。

田植えをして大体1ヶ月が経ち、草も目立ち始めてきた頃です。
私たちの「天空の縄文米」を育てている棚田は、2段あるのですが面白いことに、上の段と下の段では、生えている草が全く違っていました。


上の段では、稲とそっくりな稗(ヒエ)が丁度同じくらいの生育状態で、見分けがつきません…。
タンニン鉄の効果はもちろんあるのでしょうが、稗のワイルドさがそれを上回っているようです。
下の段では、コナギやオモダカ、クログワイなどの主に水草が生えていました。上の段と比べると植生がまるで違っていますね。

さて、草取りを始めました。下の段は、水草類をひたすら取っていけば良いので、わかりやすいのですが。
一方、上の段は、稲の株と稗の株を見極めて、抜いていかなければならず、時間がかかりました。間違って稲を抜いてしまったら大変ですから・・・。
稗の穂が付いてしまえば、稲とは全く違うので簡単に見分けがつきますが、大きく成長する前に抜いておかないと、稗は稲より成長スピードが早くどんどん養分を吸っていくため、稲の生育に大きな悪影響を与えてしまい、稲の大減収を招いてしまうのです。


ここで、稗の豆知識を1つ。稗は日本最古の穀物といわれ、縄文時代から人々に愛され、食されてきました。粟(アワ)や黍(キビ)と並ぶ雑穀の代表格です。
田んぼの稲には厄介な存在ですが、実に力強く逞しいですね。
遅々として進まない稗取りを続けて暫らく経ってから、あることに気が付きました。

「どろしょい」という虫は、稲だけについていて、稗には全くついていないということに・・・。

実は、草取りをやる前に、地元の方から「どろしょい ※現地での呼び名:稲泥負虫:イネドロオイムシ は稲の葉を食べるから、葉をはたいて落っことしてね。稲の葉につく虫だから」。と言っていたのを思い出しました。
そういうことか・・・。それから、「どろしょい」 がいる株を目印に、稗を抜いた後、稲についているどろしょいをはたけばいいんだ。そう会得してからは、効率良く草取りが進みました。


2枚の田んぼの中で二日間作業を続けて、ようやくきれいに草取りが出来ました! 稲の天敵の稗は、今シーズンはもう生えてこないということでした。
またこれから生えてきた草も、タンニン鉄の除草効果もあって、稲に影響を与えるほどにはならないとのこと。

「天空の縄文米」の収穫が楽しみです! (遠藤)
