今の野菜や果物の栄養価が低くなっていると言われています。
たとえば、1950年代と比較すると、多くの作物の成分が、著しく下がっているのがわかります。
この原因の一つには、環境を無視した農薬に頼る慣行栽培により、土自体が瘦せきってしまったことが挙げられます。
虫や微生物は、有機物(枯葉や動植物の死がい)などを分解して土中にミネラルを生成し、さらに植物が吸収できる状態にします。

作物がミネラルなどを吸収するためには、微生物の働きが不可欠ですが、微生物が住めない環境では、どんな肥料を撒いても無駄に終わってしまいます。
微生物の減少は、土壌からミネラルの減少につながります。微生物がいない土壌は、痩せて「砂漠化」 へと向かいます。
虫や微生物は、自然界の正常な循環にとって欠かせない存在なのです。

オーガニック野菜は栄養価が高い!
また今の野菜は、昔に比べて日持ちも悪くなっているとの話をよく聞きますが、日持ちが悪いということは腐敗しやすいということです。
つまりミネラルやポリフェノールなど野菜の持つ「抗酸化能力」 が少なくなっているから腐敗しやすいのです。
栄養豊富で健康な農作物が育つ条件は「土壌中の生物多様性」 にあるのです。
もう一つの要因は、「品種改良」です。
苦みやエグミを無くするために、苦み成分のミネラルやポリフェノールが少ない品種や糖度の高い品種を目指し、マグネシウムや亜鉛などのミネラル含有を二の次にしてしまった「品種改良」が、健康面からみれば、「品種改悪」 となってしまっているのです。
毎日の食事に、少しでもオーガニック野菜を摂り入れることは、免疫力を強化して病気を予防し、老化を緩やかにするなどの様々なメリットが期待できます。
| 野菜・果物 | 栄養素 | 単位 | 1950(初訂) | 減少率▶ | 1982(四訂) | 減少率▶ | 2020(八訂) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| にんじん | ビタミンA | μg | 4,050 | -70% | 1,230 | -41% | 720 |
| ビタミンC | mg | 1.0 | -100% | 0.0 | -10% | 6 | |
| 鉄分 | mg | 2.1 | -62% | 0.8 | -75% | 0.2 | |
| ほうれん草 | ビタミンA | μg | 2,400 | -79% | 510 | -31% | 350 |
| ビタミンC | mg | 150 | -57% | 65 | -46% | 30 | |
| 鉄分 | mg | 13.0 | -72% | 3.7 | -46% | 2.0 | |
| リンゴ | ビタミンA | μg | 30.3 | -100% | 0.0 | - | 1.0 |
| ビタミンC | mg | 5.0 | -40% | 3.0 | +33% | 4.0 | |
| 鉄分 | mg | 2.0 | -95% | 1.0 | - | 1.0 | |
| (参考)文部科学省発表 日本食品標準成分表2020年(八訂) | |||||||
健康な土壌で育てられるオーガニック野菜はおいしい
今、安全な食べものを得るために、そして生態系を守るために、改めてオーガニック農業が世界各地で見直されてきています。
まだ農薬がなかった時代、オーガニック農業は当たり前でした。
もともとオーガニック農業は、人類の長い歴史の中で続いてきた本来の農業であり、周りの自然や生物と共存しながら作物を育てるものでした。
そこには虫や微生物の力も作物を育てるために大切な存在という認識があり、自然への敬意がありました。

オーガニック農法は、自然な栽培方法なので、土壌に悪影響は与えず、それどころか微生物を活性化し、微量ミネラルの循環を促すなどして、生態系と環境の維持に好影響を与えます。
慣行農業の場合は、与える肥料も「窒素、リン酸、カリ」 などを主とした偏ったものであるため、出来上がった作物の栄養素も偏ったものになります。
それに対して、オーガニック栽培の作物は、自然との調和の中、多様な虫や微生物の力を借りて育てられるため、慣行栽培の作物と比べると、はるかに多種多様なミネラルやビタミン類、抗酸化物質を含んでいます。
そのため免疫力の向上や代謝の活性、良好な腸内環境なども期待できるのです。
オーガニック野菜が、味わい深くおいしく感じられるのは、まさに栄養分が多様で豊富なためなのです。
オーガニックと慣行作物の価格差が縮まっている
以前はオーガニック作物は慣行作物よりも、作業コストがかかっていたため、価格が高めでした。
しかし慣行農法の作物は、最新の化学肥料や農薬、機械代や燃料費、種子(F1)や飼料の高騰など、様々な要因から生産コストが上がり続けています。

一方、オーガニック作物は、化学肥料や農薬は使わないので、それらのコストはかかりません。またその他のコストの上昇も自然に即した栽培の為、全体的にはかなり抑えられています。
その結果、昨今ではオーガニック作物の方が、価格が安いものまで出てきているようです。
今後も、人工的な農薬や化学肥料に頼る慣行作物は、さらに価格が上がることが予想されますが、自然に沿って育てられるオーガニック作物の価格がそれほど上がらなければ、より毎日の食材として摂りやすくなることでしょう。

